【初借金は奨学金】高校生で借金持ち
人生初の借金は、高校時代の奨学金でした。
猛勉強の末、学区内にある進学校に進学し、高校生活にも慣れてきた頃。
休み時間に突然校内放送で名前を呼ばれました。
指定の教室に行ってみると、先生と、他にも数人の生徒たち。
そこで先生から大きめの封筒(奨学金の申込書類)を渡されました。
今思えば事前に親から言われて私が学校に申請希望は出していて、それで申し込み用の封筒をもらったのだと思います。
でも自分では分かっていないし、覚えていなかったので、突然封筒を渡されてビックリしました。
先生からどんな説明があったのかまったく覚えていませんが、頭も心も混乱していました。
とりあえず分かったのは、「奨学金というものがある」「学費を賄うためのお金で私の家は借りる必要がある」ということでした。
そしてとても恥ずかしかったです。というのも、貧乏とまではいかないけどそこまで困窮しているとは思ってもいなかったからです。
かつて、父の実家も母の実家も裕福でした。
母方の実家に行けば、タンスの引き出しには曽祖母や祖母が買った指輪やネックレスなどジュエリーが所狭しと入っていましたし、祖父の仕事用スーツが部屋から溢れるほどかけられていました。
父方の実家に行けば、大きな骨董品や当時珍しかった大型テレビなどが置いてありました。行くたびに千円札や一万円札をお小遣いとしてもらったものです(親から「預かる」という名目で取られていたので、使ったことはほとんどありませんが…)。
ただ、私が生まれる前~小さいころに親戚でごたごたがあって、すでに父方も母方もお金が枯渇していました。
そして親は自営業だったので、毎日お金のことで頭を悩ませていて、何かあるたびにお金がないお金がないと言っていました。
お小遣いも無かったし、クリスマスプレゼントも誕生日プレゼントも旅行も家族でのお出かけもありませんでした。
服も親戚のおさがりばかりで、質はいいけど数年〜10数年前のデザインだから古くさく、着られないものばかり。
親に新しい服が欲しいというとお金がないと怒られました。
なので、自分の家がお金持ちではないことは分かっていました。
でも、高校生活を送れないほどお金に困っているとは思いもよらなかったのです。
だからとてもショックでした。
教室に戻ると、できたばかりの友達から「それなにー?」と聞かれ、ただひたすら恥ずかしかったのを覚えています。
ごまかしながら急いでカバンの中にしまいました。
そして親に対して、こんな恥ずかしくて惨めな思いをさせないでよ、と思いました。
親自身は裕福でお金に困らない人生を送ってきたのに、なぜその子供の私は貧乏なの?という気持ちになったのです。
今振り返れば、バブル崩壊や不景気のあおりで売り上げが激減し、父の会社の資金繰りが大変だったのだと思います。
でも当時は、お金を借りないと高校に行けないという事実にひどく動揺し、親に対して怒っていました。
その後の高校生活では奨学金に関する記憶はありません。
そしてよく分からぬまま、高校生で借金持ちとなりました。


